永遠に
父の考えた「永遠に」という言葉が、墓石にしっかりと刻まれている。
私の通っていた大学の通学電車から見える墓地。「ここなら、大学に行く度、見えるでしょう?」ここを購入した時、父はそんなことを言っていた。とにかく、娘たちに忘れ去られるのを恐れていた。
父は小さい頃から少し特殊な環境で育った。破天荒な父の父(祖父)。精神的にも肉体的にも病弱だった妹。その妹と激しくいがみ合った、実の母ではない母親。
常に心に葛藤を持ち、繊細で情に厚い人だった。
私たち姉妹にとっては、父は小さい頃からの、けんか友達のような存在だった。いまだに「とうたん」と呼んでいる。一緒に野山を探検し、金魚の世話をし、キャンプに出かけ、年頃になっても一緒にショッピングに行く仲だった。生意気な娘たちに、絶妙な嫌味を言って釘を刺す。そして「イヒヒ…」と笑う小憎らしい友達。今ではこの「イヒヒ…」も懐かしい。
弁護士としての父は、正直、かっこよかった。どんな滅茶苦茶な相談でも親身にすばやく対応した。多くの友人の相談にも乗っていた。クライアントにとって身近な弁護士であり続けたと思う。でも「庶民の味方」などという気負ったことは決して言わなかった。
頭も行動もくるくる回転が早かったから、少し生き急いだのかもしれない。最後に私に言った言葉は「まぁ、人生ゆっくりいきなよ」だった。
「私は今、幸せだよ」。今日父の墓前で言った。まだ自立していなかった娘たちを、本当に心配しながら逝ってしまったから、少しでも安心してほしい。そのためには、人生を寄り道しながらもゆっくりと幸せに生きて、時々こうして墓前で「今幸せだよ」と報告しにいくこと、そんなことぐらいしかできない。けれど、それを大切に思っている。
「永遠」という言葉は、大きすぎて私にはまだよく分からないけれど、こういうことの繰り返しを言うのかな、とも思う。
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コメント
ののさんこんばんわ。
お父様の残された「永遠」とても深くて、いい言葉ですね。
いろいろ意味が含まれていると思いますが、きっとののさんが自分で分かるようになるでしょう。
私が、野暮な事いわない方がいいですね。
でも、幸せに暮らしているという報告が何よりも一番お喜びでしょう。
私までが、そんな素敵なののさんの事、とてもいとおしくなってしまいますね~(ナデナデ)笑
投稿 のあ | 2006/04/07 22:41
ののさん、おはよう!
僕も複雑な環境で育った子供です。
(複雑というよりどちらかと言えば偏屈で
僕が小さい頃に離婚している単純明快な
両親でした)
だから感謝はしているものの
尊敬の念はあまり持つ事が出来ません。
なのでののさんの様に今でも尊敬出来る親が
いるのが羨ましいと思います。
でも僕もののさんと一緒で今とても幸せです♪
僕は輪廻転生を信じています。
だから両親も次の人生では
うちの奥さんの様に人に優しく
思いやりがあってみんなから愛される人生を
送って欲しいなと思ってます*
投稿 furuta | 2006/04/08 09:11
のあさん、こんにちはーー。
うわ~なでなでされちゃったーー♪
父のお墓に行くということが
私にとって幸せに生きる、ということにつながっています。
どうにか、いい報告を父にしたい、困った局面に遭遇した時そんなことを時々思います。
「永遠」…そんなものあるのか?という問題意識は常にあります。
探してみたいと思います。
ありがとうございました♪
投稿 のの | 2006/04/08 11:51
furutaさん、こんにちはーー。
furutaさんの幸せな様子はひしひしと伝わりますよね~。
しかも、こちらまで幸せにしてくれる、すごい表現力だと思います。
よきパートナーに恵まれることは、人生を変えますよねーーー。
「輪廻転生」
いい言葉ですよね。
信じたい言葉です。
ありがとうございました。
投稿 のの | 2006/04/08 11:57
桜が咲いたと思ったら、今日はもう散り始め
ました。そして今度は若葉で彩られるんで
しょうね・・・
お父さんの言葉は、そんな自然のように広く
大きさを感じます。焦りがちな日々において
「まぁ、人生ゆっくりいきなよ」の言葉は救わ
れます^^
投稿 Jose | 2006/04/08 20:23
こんばんは。御父上が亡くなられたのはこの時期でしたか。ぼくの父もこの時期です。来週末に十三回忌です。こちらはこれからソメイヨシノが咲き始めるので、父が亡くなったときも病院の中庭で桜が咲いていました。
親というものは亡くなっても存在が大きいですね。
投稿 minton | 2006/04/08 22:09
Joseさん、こんばんはーー。
桜の散り具合も、潔くっていいですよね。
そして若葉の季節、巡り巡る季節も永遠なのかな
ってJoseさんのカキコみて思いました。
私も写真と出会って、立ち止まることを知ったから「人生ゆっくり」いけてるかな~なんて思う今日この頃です。
ありがとうございました。
投稿 のの | 2006/04/08 22:25
mintonさん、こんばんはーー。
>親というものは亡くなっても存在が大きいですね。
そうですねーー。自分が歳を重ねるに連れ、亡くなってからの方が親の大きな影響力を感じるこの頃です。
桜はいろんな感慨をそそりながらダイナミックに咲き、その感慨を連れてダイナミックに散っていってくれますね。
ソメイヨシノ、そちらではこれからなんですね。
楽しみですね♪
投稿 のの | 2006/04/08 22:42